眠樹

人の眠りを糧として花をつける樹がある。
それは精気を吸い取るような恐ろしい存在ではなく、眠りによる安らぎを分かちあう存在。
よい夢を見せてくれたときはその礼として、花は美しい光を灯すという。

ある旅人が通りかかり、一息つこうと腰かけた。
すると、どこからともなく枝が意思をもっているかのように伸びきて、
やがて眠りについた旅人を優しく包み込みこんだ。

珍しく夜のシーンを作りました。
被写界深度だけでなく、明暗をつけることで見せたいものにスポットが当たるように工夫しています。
いつもなら色味とコントラストだけ調整して終わりにいていますが、今回は手で描き込みを
かなり行っています。
影やハイライトが主だったものです。