せっかく3DCGをやっているわけだし、オリジナルキャラクターを作りたいと、だれもが一度は思うはずです。そこで今回は簡単なキャラクター作りをやってみます。

 モデリングはすべてポリゴンです。Shadeのうりは自由曲面なのですが、生き物のように手足がニョキニョキっと出ているものを自由曲面だけで作るのはなかなかに骨が折れます。そして、ポリゴンならお手軽に丸みのあるもの(シワも無く)を作れるというのも魅力です。

 いままでポリゴンを扱ったことがない人はこの機会に、新しいモデリング方法の扉を開いてみてください。すでに使いこなされている方も、もしかしたら新しい発見があるかもしれません。

 *Shade8よりポリゴン編集機能が大幅に改良されました。ここではShade6, 7にも対応した操作について解説していきます。Shade8以降のみ出来る操作については赤字表記とします。
 

 
●先ずはじめに

 今回は右図のようなひよこキャラクターを作ってみます。単純な形ですが、完成すればきっと愛着がわくはず。完成するかどうか、私自身も分かりませんが、お付き合いください。
 
サンプル図
●ポリゴン編集の確認

 ポリゴンモデリングでは、自由曲面のときと同様に、ツールボックスの機能を使うわけですが、それ以外にもいくつか追加されます。
 Shade7の場合、図のように、ツールボックス左下にある、”メッシュ”と書かれた隣にある矢印をクリックすると、ポリゴン編集用のツールが表示されます。
 なにやらたくさんボタンが増えましたが、安心してください。このうちよく使うのは、”選択”、”押し出し”、”切断(ナイフ)”の3つだけです。それ以外のは、ある程度慣れてから覚えれば大丈夫です。
 
Shade8以降では・・・
 それ以外にもオフセットやベベルといった便利な編集ツール、点以外にもポリゴンの面選択ができるといった機能強化がされています。これらについては後々解説します。
 
ポリゴン編集ツール
(a) Shade7

(b) Shade8
図1 ポリゴン編集ツール
●基本形状作りから覚える(その1)

 いきなり難しい形状を作ろうとせず、簡単な形状を徐々に作りこんでいくのが、制作のコツになります。
 この簡単な形状というのが、よくいうプリミティブというものです。まずは何種類かのプリミティブを作ることから始めましょう。

 。これが一番簡単です。ツールボックスの”クリエイト”ボタンから””を選択し、作業画面で適当にマウスをドラックすれば、球が出来上がります。
 これを自由曲面にするために、ツールボックスの"コンバート”ボタンをクリックします。これで、球は自由曲面になりました。ここでさらにもう一回コンバートボタンをクリックしましょう。これで球はポリゴンに変換されます。
 と同時に図3のようなウインドウが表示されます。これはポリゴンをどのくらい細かくしますか?というものです。上述しましたが、最初は簡単な形状から始めるのがコツです。今回はこのままの値でOKを押しましょう。これで球ポリゴンの完成です。簡単ですね。
 
Shade8以降では・・・
 ツールボックスのコンバートボタンをクリックすると、”ポリゴンメッシュに変換”と”自由曲面に変換”の2通りが選べます。ポリゴンメッシュに変換をクリックすることで1発でポリゴン変換ができるようになりました。
 球をポリゴンに変換する際、曲面の分割を普通にすると細かすぎるため、慣れないうちは粗いにしておきましょう。

 
 
球の作成
図2 球の作成

ポリゴンへの変換
(a) Shade7
 

(b) Shade8
図3 ポリゴンへの変換
●あれあれ?角ばってますね

 透視図で表示をシューディング(透視図で右クリック>表示)、もしくはレンダリングすると分かるのですが、球を作ったはずなのにダイアモンドみたいな8面体になっちゃっています。
 どうして?って思われるかもしれませんが、これでいいのです。もともとポリゴンは多角形を組み合わせたものなのです。もっと滑らかにしたいときは、先ほど出てきた分割のウインドウで値を大きくすると、滑らかになってきます。

 しかし、あまり細かく分割するとコントロールポイントがたくさんできてしまい、、非常に作業しづらくなります。そこで、Shadeには”角の丸め”という機能があります。
 ブラウザ中にある球のポリゴンメッシュを右クリックします。この中の”形状情報”をクリックしましょう。すると形状情報ウインドウが表示されます。ウインドウ内の、”限界値”を”170”に、”角の丸め”を”1”にしてみましょう。これで、先ほどのポリゴンが、しっかり球形になっていることが確認できましたか?
 
Shade8以降では・・・
 図4-(b)に示すようにツールボックス下にある"subdiv"ボタンを押すことで、角の丸めの有効/無効を切り替えられます。画面操作が重くなったときは適宜切り替えると、作業効率も向上するかも?
 
  
角の丸め機能
(a) Shade7 & Shade8

(b) Shade8
図4 角の丸め機能
●少し解説すると

 図4のように、少ないポイントでポリゴンを丸くすることを、一般にサブデビジョン(Shadeでもこう言っていいはず)といいます。つまり、表面上はポイントが少なくても、コンピュータの内部で、細かくポリゴンを分割して、表示することで、さも滑らかな曲線を引いているかのように見せる技術です。
 このサブデビジョン機能があるため、キャラクター制作にはポリゴンが向いているといえます。これなら自由曲面のようなしわもできませんし、手軽に丸みを表現できるのですから。
 
 
●基本形状作りから覚える(その2)

 さてこれでポリゴンへの道を一歩進んだわけです。しかし、私が思うに球は実はあまり使えない、気がします。最も実用的なのが次にやる、立方体(直方体)です。これはキャラクター作りの重要な基盤になるので、しっかり押さえときましょう。と大げさにいってみましたが、たいしてやることはありません。安心してください。

 ツールボックスの”クリエイト”ボタンから、”長方形”を選択します。そして上面図で適当な大きさの四角形を作ります。次にツールボックスの”ソリッド”から”掃引”を選択します。
 正面図で、先ほどの四角形(正面図だと線に見えますが)からマウスをドラックすれば、直方体(立方体)になります。
 
 
直方体の作成
図5 直方体の作成
●ポリゴン変換にはちょっと工夫が必要

 この直方体をポリゴンにするのは、ほとんど球のときと同じです。ただ、チョット工夫も必要です。まずはツールボックスから”コンバート”ボタンでポリゴンに変換します。
 しかしもう一度コンバートボタンを押そうとしても、このままでは押せません。図6を見てください。自由曲面に変換したばかりだと、ブラウザ中のパートは左側のように表示されています。これを中央のように、自由曲面だけを選択します。

 これでコンバートボタンが押せるようになります。早速押してみると、球のときと同様に、分割ウインドウが出てきます。ここでも、なるべく簡単にするために、デフォルトのままOKを押します。
 ポリゴンメッシュに変換されたのを確認できましたか?最後に図6の右側のように、ブラウザ中でパート全体を選択し、もう一度コンバートボタンを押したら完了です。これでもっとも基本的で、もっとも大切なプリミティブができました。

Shade8以降では・・・
 なんとクリエイトボタン一発でポリゴンに変換できます。工夫は要りません。球のときと同様ですね。変換する際にポリゴンか自由曲面を選択できるので、ポリゴンを選ぶだけです。
 
 
ポリゴンへの変換
図6 ポリゴンへの変換
●やっぱり丸めてみましょう

 球のときと同様に、ブラウザ中で、ポリゴンメッシュを右クリックし、形状情報ウインドウを表示させましょう。
 限界値を170に、角の丸めを1にしてOKとします。すると無機質な直方体が、クッションのようなマシュマロのような丸っこいものになりました。

 今後はこのポリゴンをベースに制作を進めていきます。また、こういったプリミティブは人間のような有機物から、ロボットのようなメカニカルなものまで応用できます。いきなり細かく分割した状態で始めず、シンプルなものからこねくり回すのがおすすめです。

角の丸め
図7 角の丸め
●おまけ

 円柱の場合はどうしましょう。ツールボックスで円を作ってから、掃引してもいいのですが、それ以外の方法もあります。
 ここでは、それ以外の方法を紹介します。最初はツールボックスより、円ではなく、長方形を描きます。分かりやすく正面図に描くのがいいでしょう。
 次に、ツールボックスの”ソリッド”より、”回転”を選びます。あとは図8のように、長方形の辺に沿って、円柱の軸にしたい部分をマウスでドラックします。すると円柱ができます。あとは球のときと同様に、コンバートボタンを2回押せばきちんとポリゴンに変換されます。

 なんと?円柱じゃなく、角柱ですと?それでは、いつもどおり、角の丸目を適用してみましょう。どことなく円柱っぽいものができているはずです。

 円柱は直方体ほどではないにしても、何かと重宝するプリミティブです。作り方を覚えておくとお得です。
 
 
基本操作
図8 基本操作

円柱の作成
図9 円柱の作成
Shade8以降での操作 (1)
 
 Sahde8からは頂点や面の選択がより重要になります。点・面の選択モードは図10に示すようなメッシュツールボックス内のボタンを押すことで切り替わります。

 点選択モードのときは、Shift+マウスドラッグで点を選択できます。面選択モードのときは、面をクリックするだけで選択されます。

 点選択モードで複数の点を選択してから面選択ボタンを押すことで、有効な面を選択してくれます。Shade7での選択と同じ感覚で扱えるため、私はこの方法をよくとります。
 ナイフや押し出しには、面を選択したときにしか実行できないため、任意の面を選択できるようにすることはとても大切です。

  
  
図10 点と面の選択
Shade8以降での操作 (2)
 
 ポリゴン変種には”選択”、”押し出し”、”切断(ナイフ)”だけで事足りると書きました。が、それ以外の機能を知っておいたほうがお得であることはいうまでもありません。

・押し出し(Shade8版)
 Shade8から面の法線方向に押し出しするようになりました。同時にマウスドラッグの移動量により大きさのコントロールもできるようになっています。法線方向とは、面を貫く軸方向になります。X-Y平面であれば軸方向にあたります。
 さらに、押し出すだけでなく、押し込むことも出来ます(図11-(a)参照)。

・オフセット
 選択した面の拡大縮小をします。まとまった面の大きさを変更したいときに便利です(図11-(b)参照)。

・ベベル
 選択した面ごとに押し出しを行います。複数の面を1つの面として押し出す押し出しとは違い、複数の面を選択しても1つの面ごとに押し出します。キャラクターの手足の指を作るときなどに便利です(図11-(c)参照)。
 


(a) 押し出し・押し込み
 
(b) オフセット
 
(c) ベベル

図11 お得なポリゴン編集
●今回はここまで

 たいして高度なことはしていませんが、基礎的なことは覚えておいて損はないので、ぜひ記憶にとどめておいてください。
 次回は具体的に、キャラクター制作に取り掛かっていきますので、お楽しみに。
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ポリゴン入門<基本操作編>

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