Shadeのコツ<パストレーシングを使おう>
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パストレーシングはShade7の目玉とも言える機能でしょう。極めてお手軽な設定でも、実にリアリティのある絵を得ることができます。 さらなるクオリティを求める場合はそれなりに工夫も必要ですが、まずはお手軽設定から始めましょう。基本的なことを抑えておくだけで作品の質もきっと変わってくるはずです。 ページの末尾にサンプルファイルへのリンクがあるので参考に利用してください。 |
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●シーンの作成 シーンは簡単なものです。図1のように板の上に球が3個配置されています。板や球の大きさは好みで大丈夫です。 それぞれの球の質感は図2のようになっています。別にどの球がどの質感である、という決まりはありません。 |
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●テストレンダリング1 まずはパストレーシングがどんなものかを確認するため、テストレンダリングしてみましょう。 無限遠光源の設定は図3のようにしています。デフォルトの値とほとんど同じです。背景は基本色を白にしている以外はデフォルトです。 レンダリング設定は図4のようになります。背景の表示、背景の反映、影の描画全てにチェックを入れています。レンダリング手法をパストレーシングに、大域照明は無しに、ノイズ減少は1にしています。 |
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●レンダリングの比較 図5の左側がパストレーシングでレンダリングしたもの、右側は同じ設定でレイトレーシングでレンダリングしたものです。 両者の違いが分からないくらいの差です。このように設定次第ではパストレーシングを単体で使うメリットが少ない場合があります。もちろん影をぼかしたり被写界深度を持たせることはできますが。 レイトレーシングが8秒で終わったのに対し、パストレーシングは133秒かかったというのも興味深いですね。 |
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●大域照明の使用 今度は大域照明をパストレーシングにしてパストレーシングでレンダリングしてみましょう。それ以外は上記の設定と同じです。 画面が白で潰れてしまいました。これは無限遠光源以外に、背景の白を大域照明として利用したからです。これがよく言うIBL(イメージ・ベースド・ライティング)です。 しかし先ほどの画像に比べ、球の存在感が出てきました。これは大域照明により自然な影が生まれたためです。 ここで、大域照明をONにしたことでレンダリング時間はさらに増え、351秒になったことも注意です。 |
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●無限遠光源の削除 図6では無限遠光源の影響で真っ白になってしまいました。そこで、図7のように無限遠光源を無しにしてレンダリングしてみましょう。無限遠光源以外は上記の設定のままです。 |
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●テストレンダリング2 一気に存在感が出てきましたね。影もいかにもCGっぽいような影ではなく、滑らかなグラデーションになりました。 このように、パストレーシングを使う場合は、大域照明をONにして、無限遠光源は無しにするか、微小にすることで本領を発揮してきます。 |
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●背景の設定 これまでで大分存在感は出てきましたが、背景が真っ白なため、色彩がチョットさびしいです。もう一工夫するため、背景に写真を使います。 シーンにあった写真を用意できればいいのですが、用意できない場合はひとまず手元になる適当な写真を使ってみます。 写真を図10のように背景ウインドウに入力します。イメージを選択し、左側にある空白の四角右クリックすれば、読み込みというのが出てくるので、ここで画像を選択しましょう。 |
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●テストレンダリング3 これでより色彩が豊かになりました。これは背景画像(写真)の色が単に照明として使われるだけでなく、その色をオブジェクトにも反映させているためだからです。もちろん背景の反射・写りこみもしっかり再現されていますね。 テクスチャだけではどうもしっくりとした質を得られない、というときは背景に適当な写真を使うことで味付けができます。 なお、全体的に暗いので色補正を行いました。Shadeの色補正ウインドウで調整したのが図12です。 |
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●ノイズを減らすには 最後に、パストレーシングを使う際の最大の悩みの種がノイズです。一番楽な減らし方が、レンダリング設定にある”レイトレーシングの画質”の値を大きくすることです。 試しに75にしてレンダリングしたのが図13です。大分きれいになりましたね。”レイトレーシングの画質”をもっと大きな値にすればさらにノイズは減るはずです。 しかし、それに反してレンダリング時間も膨大なものになります。どのくらいの値が良いかの見極めは、テストレンダリングを繰り返したり、経験が必要になります。 また、この値は大体90以上にしても時間がかかるばかりで、これといった効果は得られないようです。 *Shade10ではレイトレーシングの画質を100以上にも設定できます。 図13はレンダリングに1500秒かかりました。 |
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以上で簡単ですが、パストレーシングの使い方の説明を終わりにします。以下にまとめます。 ●まとめ ○ レンダリング手法をパストレーシングとするときは、大域照明もパストレーシングに。 ○ 無限遠光源は使わない、もしくは明るさの値を小さくする。 ○ 背景に雲などを設定するか、写真などの画像を使うと色に深みが出る。 ○ ノイズを少なくするにはレイトレーシングの画質の値を大きくする。あわせてレンダリング時間 が増大することに注意。 となります。 今回のシーンのサンプルファイルはこちら(190KB)です。LHZ形式で圧縮してあります。ただし、サンプルファイルにより被った被害については責任を負いかねますのでご注意ください。事前にチェックはしておりますが、ウイルスチェックをされることをおすすめします。 |
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今回は説明し切れませんでしたが、無限遠光源を使わないと光沢をうまく出せません。この対策としては点光源を用いたり、HDRIを使うとよいのですが、少し難しくなってくるため、これについては別の機会でとりあげます。 レンダリングされた画像だけで満足せず、PhotoShopなどのペイントソフトで自動補正をして見ましょう。きっとさらに良くなるはずです。 ちょっと宣伝です。ノイズを除去する1つの選択肢がフィルタを用いることで、レンダリング後の画像を加工することです。条件によってはきれいになる場合があります。詳しくはこちらのページを。 図13の明るさを調整したのが左側。さらにノイズ除去したのが右側です。
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大域照明を使おう フォトンマッピングを使おう |